4.11.2013

O U T B O U N D にて




取扱い頂いております吉祥寺のギャラリー、O U T B O U N D の店主、

小林和人さん自身による新・活字ホルダーのカスタムワークと美しい写真です。

同店では、小林さん自身による、

ラオス、レンテン族の刺繍を撮影された写真集へのタイトル押しや、

氏が手掛けるもう一方の店舗、R o u n d a b o u t のタグ制作に向けて使用を計画されており、

実用の場を体験できます。



お店。を昔は御見世と言った時代もあるそうですが、

幅広く、奥深い、様々な手道具や他の作家さんの気合の入った作品群を編集されている同店は、

小林さん私設の博物館のようでもあり、僕自身、よい刺激と共に、

世界を見渡せる場所でもあります。





こちらは、新・活字ホルダーのwebや取扱い説明書、活字箱、

初期に販売したトートバッグのデザイン等に尽力を注いでくれた仲間、

ズアン課 スズキチヒロさんによるO U T B O U N D の素敵な写真です。

今はこのプロジェクトから遠のき、活躍する彼女の作ったこの場から、

感謝を込めて、これからも発信してゆこうと思います。





新・活字ホルダーは小さくも、

過去の手仕事を現代に伝える道具と思っております。

それは、近代の産業構造と情報伝達の変遷でもあります。

その変遷の中で生き延びてきた活版印刷の質には、

忘れてはならない精神が写し出されていると思います。

鉛活字の鋳造だけでも、明治時代に海外からの輸入産業として始まり、

自分達の文字であるひらがなやカタカナ、漢字等の鋳造母型を手彫りする所から始められました。

そして、この母型から、多くの書体が再現され、それらを製版、印刷にかけ、

情報伝達するまでに多くの丁寧な工夫と、努力がそこにあります。

こうして、ハングリーな力の宿った硬質の素材が、

柔らかく繊細な陰影や、組版のゆらいだ魅力を生んでいるように思います。



今は出版物も増え、またWebを通して、よい書き手の方や、

感動する言葉や文章に多く出会えるようになった事をとても幸せに感じます。

しかし、昨今のプロパガンダキャンペーンのすさまじさは、

希薄な情報や嘘さえも、デジタル複製による膨大な量で

僕らの許容量を越えてきます。



情報の膨大さは、この世界の難しさのようで、たまに不安を呼ぶこともありますが、

自分の視野の外、相手の気持ちが込められた視点から、

ある日なにかの形でメッセージが届いた時、

感謝の気持ちが湧き上がり、温かい力になると思います。

そんな時に伝わってくる気持ちはシンプルで、

お互いにそれが出来れば、、多様と混沌が織り成す、

美しくて大きな世界が見えてくると思っています。

少し話が逸れましたが、ハートフルなタイミングにも、この道具をご活用頂ければ幸いです。




O U T B O U N D


ズアン課